直方市在住の染色家・曽根富久恵さんの特別展「曽根富久恵展」が現在、ギャラリーあしや(芦屋町中ノ浜4)で開かれている。
芦屋町教育委員会が主催する同展。曽根さんが50年以上にわたり制作してきたろうけつ染め作品約65点を展示する。着物や平面作品のほか、木材を使ったオブジェなどを並べ、初期から近年までの制作活動を紹介する。
曽根さんは1949(昭和24)年、直方市内の材木店に生まれた。「人と違うことがしたい」と高校卒業後、染色工芸家の故・二科十朗さんに師事。4年間の内弟子生活を経て作家となった。1973(昭和48)年と1980(昭和55)年にはインドネシアで染色を学び、直方市と水巻町の中央公民館で30年以上、ろうけつ染め講座の講師を務めてきた。
ろうけつ染めは、溶かした蝋(ろう)で布などに模様を描き、染料で染め上げる技法。曽根さんは、蝋で染めたくない部分を「伏せては染める」工程を繰り返し、草木染料と化学染料を使いながら色を重ねる。絵の具で直接色を塗るのとは異なり、染めの重なりによって色彩を表現するという。
作品の題材は、動植物や民芸品、身近な風景など。会場には、江戸時代の直方周辺の古地図を基にした作品や、ニューヨークへ作品を送った際に使った段ボール箱を題材にした作品、人物や動物を幾何学模様と組み合わせた作品などが並ぶ。
曽根さんは作品をほとんど販売せず、自身の手元に残してきたという。グループ展などで価格を付ける場合も1、2点ほどで、長年制作してきた作品がまとまって保管されていたことから、今回、半世紀にわたる作品が一堂に並ぶ。
8月2日に行われた曽根さん自身によるギャラリートークには100人以上が来場した。曽根さんは「里帰り中に札幌から足を運んでくれた人もいた。この機会に、たくさんの人に作品を目に留めてもらえるのがうれしい」と話す。
開館時間は9時~17時。月曜休館。入場無料。8月30日まで。